西と東、味の違いとかまぼこ

2016年7月11日
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高校生の頃、関西から転校してきた友人と立ち食いうどんを食べに行った時、友人が、コップの水を丼へ入れ始めました。「東京の出汁は味も色も濃く、薄めてからじゃないと食べられない」。この時、初めて、西と東の味の違いを実感したものです。

東西の出汁の違いは、徳川と豊臣の天下分け目の決戦と関係があり、関が原を境に分かれるといわれています。関西では昆布出汁、関東ではかつお出汁が多く使われます。関西は薄味。関東はこってり味。色も関西では薄口しょうゆを使うため、淡く、関東では濃い口しょうゆを使った濃い色になったといわれています。

関西と関東の違いは、うなぎの蒲焼きにも見ることが出来ます。関西では腹開きして、直火で加熱。一方、関東では背開きとし、一度蒸したあと焼きを入れます。関東は武家文化ということで、切腹を連想されることを嫌って背開き、関西は貴族の文化ということから、腹切りに抵抗感がなかったようです。このほか、餅の形も関西では丸もち、関東では切り餅と、東西では、食べ物の形や食べ方などでも大いに異なっています。

ところで、かまぼこにも東西で違いがあるのでしょうか?
江戸の風俗をまとめた「守貞謾稿」には、「三都とも杉板面に魚肉を堆し蒸す。京坂では蒸したままをしらいたという。板の焦げざる故なり(板が焦げていないから)。多くは蒸して後、焼きて売る。江戸にては焼て売ること、これなし。皆、蒸たるのみを売る」と記されています。

つまり、関西では焼かまぼこ、関東では蒸かまぼこが好まれると記しています。この流れは、現在でも残っています。一説によると、かまぼこの表面を焼いたのは大阪で作ったかまぼこを京都に持ってゆくために、表面を焙って乾燥させて日持ちをよくしたとも伝えられています。

このほか、関西では白い天ぷらが珍重され、関東ではきつね色の揚げかまぼこが一般的です。伊達巻も、関西では魚の味を楽しむために甘みが抑えられていますが、関東では甘みの強い濃い目の味が好まれます。こうした傾向は、玉子焼にも共通で、関西の卵焼きは出し巻、関東では、甘みの強い卵焼きが好まれます。

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