目で季節を感じる祝儀用“細工かまぼこ”

2015年4月07日
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 昔から、結婚式や節句などのお祝の席を彩ってきたのが、細工かまぼこです。細工かまぼこには、切り出し、刷り出し、絞り出しや一つものがあることは、前にも紹介しましたが、目にする機会が一番多いのは絞り出しで職人の奥深い技術を実感できる技法です。

 鯛を中心に、富士、松竹梅や鶴といった色鮮やかなかまぼこを豪華に盛り込んだ籠盛りは、日本人の晴れの喜びを、華やかに演出してきました。
 結婚式に招かれた者が、引き出物に持ち帰った大きな鯛や亀のかまぼこを切り分けて近所に幸せのお裾分けした風習も日本人の〝絆〟を確認し合う習いでもありました。

 日本人の生活様式は様変わりし、結婚式や祝い事の引き出物に細工かまぼこが利用される機会が少なくなったのは、寂しい限りですが、最近では、「こいのぼり」、「お雛さま」やバレンタインデー用の「ハートかまぼこ」など、季節に合わせた細工かまぼこに、人気があります。アニメのキャラクターや似顔絵、愛犬、愛猫をワンポイントにあしらったかまぼこもチビっ子や若い女性たちに人気です。

 細工かまぼこといえば、富山が頭に浮かびますが、かつては、日本の土地土地で独自の細工かまぼこがつくられていましたし、今でもつくり続けられています。全国かまぼこ連合会が毎年開催する全国蒲鉾品評会には、「額もの」「籠盛り」など、各地から見事な細工かまぼこが出品され会場に華を添えています。

 それらは、まさに芸術の域に達した見事な細工かまぼこで、初めて見る人は必ず「これ、かまぼこなの?」と目を丸くします。
 中でも、独自の摺りだし技術で毎年、「美人絵」を出品する福岡県大川市の志岐蒲鉾本店の作品は、品評会の顔として、業界関係者にも広く知られています。

 春は花見、夏には花火、秋は紅葉と、日本人には季節を感じさせる行事がありますが、目で季節を感じさせる細工かまぼこの古き良き日本の伝統が再認識されることを願ってやみません。

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